足立美術館は、島根県安来市にある、近代日本画を中心とした私立美術館である。

横山大観をはじめとする近代日本画と日本庭園で知られる足立美術館は、地元出身の実業家・足立全康が昭和45年、71歳のときに開館したものである。
質量ともに日本一として知られる大観の作品は総数130点にのぼり、足立コレクションの柱となっている。
大観のほかにも、竹内栖鳳、橋本関雪、川合玉堂、上村松園ら近代日本画壇の巨匠たちの作品のほか、北大路魯山人、河井寛次郎の陶芸、林義雄、鈴木寿雄らの童画、平櫛田中の木彫なども収蔵している。
足立全康は裸一貫から事業を起こし、一代で大コレクションをつくりあげたが、その絵画収集にかける情熱は並外れたものであったらしく、数々の逸話が残されている。
なかでも大観の名作『紅葉』と『雨霽る』(あめはる)を含む「北沢コレクション」を昭和54年入手した際の武勇談は有名である。
足立美術館のもう一つの特色は、その広大な日本庭園である。
庭園は「枯山水庭」「白砂青松庭」「苔庭」「池庭」など6つに分かれ、面積5万坪に及ぶ。
全康自らが、全国を歩いて庭石や松の木などを捜してきたという。
専属の庭師や美術館スタッフが、毎日手入れや清掃を行っていて「庭園もまた一幅の絵画である」という全康の言葉通り、絵画のように美しい庭園は国内はもとより海外でも評価が高い。
日本庭園における造園技法のひとつである借景の手法が採られ、彼方の山や木々までも取り込んで織り成す造形美は秀逸である。